/ 小さな図書館のある家

建築が、周辺にある環境とどのように関係していくか。その間合いの取り方に興味がある。

小さな町にある大きな通りに面して2階建てのコンクリートの建物があった。たくさんの本をお持ちで、その所蔵場所としてこの建物
を選んだ建主に、私設の図書館のようにして町に開いたらどうかと提案し計画が始まった。
近所には町を横断する川があり、気持ちよく散歩のできる遊歩道や小さな公園が整備されている。そのような周辺施設と呼応する広場のような場所がアーケードの下にあって、そこでは自由に本が読める。そんなふうに一つの場所が小さく変化すると、周辺の有り様や
情景までもが小さく変わっていくことに期待した。

アーケードに面した既存建物の入口は6枚のガラス戸で、奥には土

間が配されていた。その単純な構成を活かし、建物全体を3つの大きな部屋でできた構成としながらも、それぞれが切り離された場所となるのではなく、互いに気配が感じられる設えとした。

また、アーケードの下に店舗のような間合いで空間が並列するとインテリアの性質が払拭できず、それが広場のイメージからは遠いような気がした。そのため、座って本が読めるベンチを家具よりももう少しだけ建築的に捉え、アーケードとの間合い、あるいはその向
こうにある町空間との連続性を意識した。
町で暮らす人びとが建主の本と出会い、多様な価値観に触れることで町が小さく小さく変わっていく。この設計がその一助になればいいと思う。

2019 / 鳥取県 / 併用住宅 / 改修 / 鉄筋コンクリート造

キノシタヒロシ建築設計事務所│Hiroshi Kinoshita and Associates
〒680-0035 鳥取市新町201 上田ビル202│tel/fax:0857 51 1914│contact:office●kinoshitahiroshi.jp(●→@)